戸籍について

相続手続きを進めていくためには、まず被相続人(故人)の出生から亡くなるまでの戸籍を集めることが必要です。また、相続人となる人の戸籍謄本も必要です。戸籍を集めることによって、相続人の範囲を確定し、遺産分割協議を行うためです。

 

相続手続きを進める上で、戸籍の収集は避けて通ることのできない作業ですが、非常に煩雑な作業となります。平日に仕事を抱えている方が行うためには、非常に時間と手間がかかります。行政書士を始めとする専門家へ依頼することもご検討ください。

1.戸籍の種類

謄本、抄本、原戸籍、全部事項証明書…。戸籍に関する説明をそれぞれしたいと思います。

①謄本

記載されている内容全部の写し。全部事項証明書ともいう。

②抄本

記載されている内容を一部抜粋した写し。一部事項証明書ともいう。

③(改正)原戸籍

戸籍法の改正に伴い、記載内容や様式に変更があったために閉鎖された戸籍

④除籍

戸籍に記載されている者全員が、死亡、婚姻、離婚などによって、いなくなった戸籍

⑤戸籍の附票

本人の住所の変遷を記載したもの。現住所を確認することができる。

 

2.相続時に提出が必要

相続手続きにおいて、被相続人と相続人の戸籍はいろいろな機関に提出する必要があります。

法務局、銀行・郵便局、証券会社だけではなく、SNSの解約にも必要な場合があります。それぞれに原本を提出していると、手間も時間もかかってしまうので、当事務所では全ての機関に原本還付、つまり原本を返してもらうことをお願いしております。

 

※現在(平成28年7月)、法務省が戸籍関係の情報が記載された証明書の発行を計画しています。平成29年度から運用を開始するそうです。ただし最初の戸籍の収集は相続人がしなければならないようです。

3.戸籍の取得方法

戸籍は、本人の本籍地がある市町村に請求しなければいけません。例えば私の場合、居住しているのは兵庫県伊丹市ですが、本籍地は山口県岩国市にあります。何らかの理由で戸籍謄本を取得するためには、岩国市役所の窓口に行くか、あるいは郵送で請求するしかありません。

 

故人の本籍地が遠方にあったり、相続人が何人もいる場合、戸籍を収集するだけでも大変な作業となります。また、法定相続人や家族以外の者が戸籍を取得するためには、委任状が必要となります。相続人同士が遠方に住んでいる場合、委任状にハンコを押してもらうだけでも時間がかかってしまいます。

 

行政書士は職務上請求書という用紙を交付されています。「遺産分割協議書を作成するために相続人の範囲を確定する必要がある」という名目の下、正式なご依頼をいただければ、委任状がなくても被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍(除籍)や相続人の戸籍を集めることができます。

また現在、音信不通の相続人がいる場合は、戸籍の附票を取得することによって、現住所を突き止めることができます。これにより、手紙を出すことによって遺産分割協議への参加を促すことができます。

当法人では、戸籍の取り寄せ代行も行っております。平日は仕事が忙しい方など、お声掛けいただければ幸いです。