出生から亡くなるまでの戸籍

 相続手続きをする場合、まず被相続人(故人)の出生から亡くなるまでの戸籍を集める必要があります。

 先日、知人と話していた際、戸籍の原本還付の話になりました。知人は奥さんの代わりに義姉の相続手続きをするため、義姉の出生から亡くなるまでの戸籍を取り寄せていました。目的は証券の相続手続きのためです。不動産や預貯金と同じように、通常証券の相続手続きをするためには、証券会社に故人の出生から亡くなるまでの戸籍を提出する必要があります。

 その方は証券の相続だけが目的だったため、原本を証券会社に提出して返してもらうつもりがありませんでした。しかし話を聞くと、不動産の名義変更もすんでおらず、また預貯金の解約もできていませんでした。

 そこで私は「戸籍謄本の原本還付をしたほうがよい」とアドバイスをしました。相続登記にも預貯金の解約手続きにも必要となる書類のため、原本を返してもらわなければ、もう一度集めないといけなくなるからです。そうなると手間も時間もかかります。

 本籍地が近所であればいいのですが、亡くなった時の住所地とは別のところに本籍地を置いている人も多いのです。かくいう私も本籍地は山口県です(*^_^*)

 戸籍を集めるだけでも大変な作業となりますので、平日に時間がとれず、原戸籍などの意味もわからない!という方は行政書士をはじめとする専門家にお任せ下さい。

 まあ下記記事によると、将来的にはなくなる仕事かもしれませんね。しかし今現在は、非常に複雑かつややこしい仕事です。

 法務省は5日、相続手続きを簡素化する「法定相続情報証明制度」(仮称)を来年度に新設すると発表した。

 現在は、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本など大量の書類一式を集め、登記所や各金融機関の窓口にそれぞれ提出する必要があり、相続人の負担となっている。新制度では、最初に書類一式を登記所に提出すれば、その後は登記所が発行する1通の証明書の提出で済むようになる。

 相続手続きの簡素化は、相続人や金融機関などの負担軽減を図るとともに、相続結果の登記を促して所有者不明の不動産を解消することが狙い。政府が6月に決定した「ニッポン1億総活躍プラン」などに盛り込まれていた。法務省はパブリックコメントを実施した上で登記に関する規則を改正し、来年5月の運用開始を目指す。

 現行制度では遺産を相続する場合、不動産登記の変更、相続税の申告、銀行口座の解約などのため、大量の戸籍書類一式をその都度、官民全ての窓口に提出しなければならない。新制度では、まず登記所に書類一式を提出してもらい、登記所が相続情報を記載した証明書を交付。金融機関などでは証明書の写しの提出だけで手続きが行えるようにする。 

時事通信社 最終更新:7月5日(火)18時49分