建設工事における下請代金の支払い

下請法という法律があります。大企業と中小・零細企業が取引する場合において、大企業からの不当な要求か下請企業を守るための法律ですが、これは建設業は適用対象外となっています。

 

その代わり建設業法において、下請企業を保護する条文が存在します。

 

建設業法

(建設工事の請負契約の原則)

第十八条 建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従って、誠実にこれを履行しなければならない。

(建設工事の請負契約の内容)

第十九条 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従って契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

一 工事内容

二 請負代金の額

三 工事着手の時期及び工事完成の時期

 

…(以下全部で14項目)

 

 

下請企業としては、出来形払い、せめて前金払をお願いしたいというのが本音でしょう。そうしておかなければ、事業の途中で資金がショートしてしまうこともありますし、最悪の場合「取っぱぐれる」という事態を回避することもできます。

 

しかし建設業法では、支払方法や支払の時期を含め、基本的には元請企業と下請企業の自由契約によって、契約の内容を決めることができます。仮に工期が長くても、お互いに合意していれば、完成払にしても問題ないわけです。

 

ただし建設業法においては、元請負人の義務として、下請代金の支払い時期を次のように定めています。

 

(下請代金の支払)

第二十四の三 元請負人は、請負代金の出来形部分に対する支払又は工事完成後における支払を受けたときは、当該支払の対象となった建設工事を施工した下請負人に対して、当該元請負人が支払を受けた金額の出来形に対する割合及び当該下請負人が支払を受けた金額の出来形に相当する下請代金を、当該支払を受けた日から一月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならない。

2 元請負人は、前払金の支払を受けたときは、下請負人に対して、資材の購入、労働者の募集その他建設工事の着手に必要な費用を前払金として支払うよう適切な配慮をしなければならない。

 

要するに、完成払にするか、出来形払にするか、あるいは前金払をするかは、当事者(元請と下請)の自由ですが、「元請けが発注者から前払金や出来形に相当する支払を受けているにも関わらず、下請けには支払を遅らせるということはダメですよ」ということですね。

 

元請企業には、支払を受けたら一月以内に下請け企業に支払う義務があります。

 

いずれにせよ、口約束だけでは後でトラブルになった際に、言った、言わないになる恐れがあります。だからこそ、建設業法では、工事請負契約書の作成を義務付けているわけです。

 

兵庫県尼崎市の行政書士なかひろ事務所では、工事請負契約書の作成も行っております。

詳しくは当事務所の建設業許可専門HPをご参照ください。

 

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