放置していても何も解決しません。

増加する「空き家」。背景には相続の問題

全国的に空き家が増加傾向にあるという報道を見る機会が増えました。総務省の住宅・土地統計調査によると、平成25年の時点で空き家は全国に約820万戸あるそうです。今後、さらに空き家の数は増えていくことが確実視されています。

空き家は、地域の景観を壊すだけではなく、防犯上・防災上の観点から考えても、地域にとってよいことは一つもありません。

このような背景を受け、平成27年5月には「空き家対策特別措置法」が施行されました。これにより自治体は倒壊の恐れがある空き家を〝行政代執行〟により、強制的に撤去できるようになりました。

 

なぜ空き家は増えつつあるのでしょうか。その理由のひとつに、相続の問題があります。相続財産として土地や建物を相続した場合、相続人間で遺産分割協議を行い、その所有権を確定する必要があります。しかし何らかの事情により、遺産分割協議を行わず、所有権が確定していない空き家が多く存在しているのです。

空家等対策の推進に関する特別措置法

増加する空き家の問題に対応するため、「空家等対策の推進に関する特別措置法」が平成26年11月27日に公布され、平成27年5月26日に施行されました。

この法律の施行により、「特定空家等」に指定された空き家に対して、行政は除却、修繕、立木竹の伐採等の助言又は指導、勧告、命令が可能となりました。

 

「特定空家等」とは、次のような状態にある空き家を言います。

  • 倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • 適切な管理が行われないことにより、著しく景観を損なっている状態
  • その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

 

まずは所有権を確定すること

空き家は個人の財産なので、行政と言えども勝手に処分することはできません。しかし、所有者がわからなければ、行政も通知を出すこともできないのです。

空き家の状態で放置しておくと、土地・建物はどのようになるのでしょうか。庭の草木が道路にはみ出し、通行人の邪魔になります。人が住まなければ建物の劣化も早まるでしょう。

誰かが管理しなければ、空き家には何の価値も生まれません。管理するのは「所有者」です。所有者となる人が空き家の利活用について考える必要があります。

 

行政の補助制度を利用しよう

空き家の問題がクローズアップされるにつれ、空き家対策に投入する行政の予算も確保されるようになってきました。

各自治体の平成28年度の当初予算や補助制度を確認してみましょう。

  • 兵庫県-空き家活用支援事業を実施。一戸建て住宅を対象に、空き家への居住等に向けた改修工事費の一部を助成。
対象物件 一戸建ての空き家 (空き家の期間が概ね6箇月以上)
対象市町 政令市、中核市を除く市町(姫路市の旧香寺町・安富町・夢前町・家島町の区域は対象)
対象区域 市街化区域を除く区域
(合併前の旧町中心部の市街化区域は対象)
市街化区域
(合併前の旧町1中心部の市街化区域は除く)
市町随伴 期待 必須
補助額

住宅、

事業所

1/3(上限100万円)3 1/4(上限75万円)
移転費(上限10万円) 移転費(上限10万円)
市町 (随伴期待) 1/4
所有者 2/3 1/2
地域交流拠点 1/2(上限500万円) 1/4(上限250万円)
市町 (随伴期待) 1/4
所有者 1/2 1/2
  • 神戸市-特定空き家情報のデータベース構築、解体除却補助(補助率2分の1、上限60万円)、草刈り等への補助(補助率2分の1、上限5万円)、相続調査への支援(補助率3分の1、上限30万円)
    ◎空き家再生等推進事業-地域活動や交流拠点等に活用する空き家の改修補助を創設(233万円/件)
  • 豊中市-空き家利活用マッチング支援、提案型空き家利活用リフォーム助成
    (詳しい内容については、未発表)

ほかにも伊丹市や池田市が、空き家を解体するための工事費を補助する計画です。個人的には、神戸市の相続調査への支援に注目しています。相続人の調査は行政書士の業務として大きくかかわることのできる分野です。

また、豊中市の空き家利活用マッチング支援にも注目しています。私は、伊丹市の空家等対策協議会の市民委員を委嘱されています。会議が進む中で、空き家の利活用を促進するために最も大事なことは、「土地(建物)を使いたい人」と「土地(建物)を利活用したい人」のマッチングだということに気が付きました。具体的な支援内容については、未発表ですが、今後の豊中市の方策に注目したいと考えています。

空き家の利活用案

空き家の利活用にはさまざまな検討が官民で行われています。例えば、国土交通省は、空き家を公営住宅に準じる住宅として活用する案も検討しています。公営住宅の建設費用を抑えるのと同時に、子育て世帯や高齢者の入居も想定しています。

 

個人が所有している空き家を利活用する案として最近注目されているのは「民泊」でしょう。

一般的に民泊とは、個人住宅に有料で旅行者らを泊めることをいいます。しかし実は明確な定義はありません。最近では外国人観光客を中心に利用が広がっていますが、同時に旅館業法違反という指摘もあるため、グレーな領域となっています。

しかし旅館業法の要件緩和などが審議されており、今後は民泊が広がる可能性は高いと考えられます。さまざまな問題をはらんでいるものの、空き家の利活用案としては最も注目度が高いものと言っていいでしょう。

 

民泊以外では例えば次のような利活用案があります。

  • 事務所として賃貸に出す
  • リフォームして賃貸に出す
  • デイサービスや訪問介護施設など、事業用の物件として賃貸する

貸し出すだけではなく、自分で利用することや売却するのもありでしょう。実際、以上のような賃貸をするにしても、プロの力を借りなければ事業経験のない個人では非常に難しいものと考えられます。

当事務所のサービス

当事務所が支援する空き家対策は次のサービスです。

  • 相続人の調査、遺産分割協議のサポート、土地・建物の名義変更(司法書士と連携)
  • 行政の補助制度活用の提案、手続き
  • 解体工事会社・建設会社の紹介
  • 不動産会社の紹介
  • 空き家を改修した後、事業に必要な許認可の取得
  • 各種行政機関、民間会社とのやり取り

以上のやり取りを相続人が行うのは非常に困難であると思います。ぜひ当事務所にお声掛けください。

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